就業不能保険は必要?上手に選ぶポイントをチェック!
病気やケガで働けなくなったときの生活を支える就業不能保険。傷病手当金・障害年金といった公的保障との関係や、商品を選ぶときにチェックしたい5つのポイントを解説します。
「医療保険にも死亡保険にも加入しているので、いざというときの備えはばっちり」。そう考える方もいますが、実は見落としがちな備えがあります。それが「生きているけれど働けない」という事態です。こうしたときに家族の生活を守る手段として注目されているのが「就業不能保険」です。
大きな病気やケガで働けなくなり、収入が減り、さらに在宅療養の費用がかかるようになっても、住宅ローンや車のローン、子どもの教育費、家族の生活費などは、病気やケガをする前と同じようにのしかかってきます。就業不能保険は、こうした働けなくなったときのリスクに備えるための保険です。今回は、就業不能保険の内容から必要性、商品を選ぶときのポイントまで解説します。
1. 就業不能保険が注目される理由
これまで病気やケガに備える保険としては、医療保険や死亡保険が定番でした。しかし近年では、「生きているのに働けない」というリスクに備える就業不能保険が注目を集めており、さまざまな保険会社が商品を取り扱うようになっています。
その背景には、医療の進歩や医療費適正化政策によって入院日数の短期化が進み、「長期入院から通院治療へ」という流れが起こっていることが挙げられます。この流れにともなって、入院を前提とする医療保険だけではカバーしきれない在宅療養の期間が長期化しており、就業不能保険へのニーズの高まりにつながっています。
2. 就業不能保険の特徴は、働けないときの生活保障
就業不能保険は、病気やケガで一定期間働けなくなった場合に、給与のように毎月一定の金額が支払われる保険です。働く人のための保険として設計されているため、基本的に加入できる年齢は20〜60歳程度までとなっています。保険料は商品によってさまざまですが、30歳の場合で月々数千円程度のものも多く、保険金額はおおよそ月10万〜50万円の範囲から選択します。
働けない状態が長引けば、公的保障や貯蓄だけでカバーするのは難しくなります。収入の減少と支出の増大による負担に備えが十分でなければ、生活水準を大きく下げなければならないこともあります。この不足分を補うための選択肢の一つが就業不能保険です。
なお、就業不能保険と混同しやすい保険に「収入保障保険」がありますが、目的が異なります。就業不能保険は働けなくなった際に自分自身の所得を保障するものであるのに対し、収入保障保険は自分が亡くなった後、遺族のための収入を保障するものです。「誰が」保障を受けるのかという点で大きく異なります。
3. 就業不能状態で活用できる公的保障
死亡保険でも医療保険でもカバーしきれない部分を保障するのが就業不能保険ですが、加入を検討する前に、公的保障でカバーできる部分を押さえておくことが大切です。ここでは「傷病手当金」と「障害年金」を確認しましょう。
3-1. 給与を補う傷病手当金
会社員(公務員にも同様の制度があります)は、働けなくなった際にはまず有給休暇を取ることになりますが、連続した3日を超えて休む場合には「傷病手当金」が適用されます。これは、療養のため仕事に従事できない状態になったときに、休んだ4日目以降、最長で1年6ヶ月の間、給与の3分の2に相当する額が支給される制度です。
勤め先の健康保険(公務員は共済組合)に加入していれば利用できますが、国民健康保険にはこの制度がないため、自営業者は対象外です。
3-2. 障害の状態に応じてもらえる障害年金
就業不能時に利用できるもう一つの制度が「障害年金」です。障害年金は、病気やケガで身体に障害が残り、生活や仕事に支障が出てしまう場合に、一定の条件のもとで受け取れるものです。
病気やケガで初めて病院を受診した日(初診日)から1年6ヶ月後に、障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に請求できます。障害年金は公的年金に加入しているすべての人が対象で、傷病手当金と異なり期間限定ではなく、症状の程度が変わらない限り受給を続けられます。また労務不能であることを支給条件とはしていないため、場合によっては働きながら受給できる可能性がある点も傷病手当金とは異なります。
就業不能時に使える公的保障の比較イメージ ※日数・期間は本文の記述にもとづきますが、軸上の位置関係はイメージです
4. 就業不能保険は必要か?
公的保障を踏まえたうえで、就業不能保険の必要性を考えてみましょう。まず重要なのは、会社員・公務員と自営業者では必要度が異なるということです。自営業者の場合は傷病手当金が出ず、障害年金の対象となったとしても1年半以上は受け取ることができないため、会社員等よりも就業不能保険に加入する必要性が高いといえます。
会社員であっても、傷病手当金では収入の3分の2しかカバーされないため、家計への影響は避けられません。たとえば月給30万円の場合、傷病手当金は約20万円になる計算です。その金額や貯蓄でローン・教育費・生活費をまかなえるかを考えておくとよいでしょう。
逆に、すでに十分な貯蓄があり、働けなくなったときの金銭的な備えができている方や、勤務先の福利厚生で十分な保障が得られる方は、この保険の必要性は低いといえます。
5. 就業不能保険を選ぶときの5つのポイント
就業不能保険は比較的新しい保険で、保険会社ごとに保障内容にばらつきがあります。比較検討する際にチェックしたいポイントを見ていきましょう。
5-1. 給付金が支払われる条件
まず確認したいのは支払条件です。保険金は就業不能状態に該当したときに支払われますが、この「就業不能状態」の定義は保険会社によって異なります。基本的には「病気やケガの治療目的で日本国内の病院・診療所に入院している」「病気やケガにより医師の指示で在宅療養している」などが条件ですが、在宅療養を自宅以外でも認めるかどうかなど、細かな条件が保険会社ごとに違うため、詳細をしっかり確認しましょう。
5-2. 保障対象となる病気やケガの範囲
保障対象にどのような病気やケガが含まれるかも重要です。3大疾病や5大疾病に限定するものから、より広い範囲をカバーするものまで、商品によって保障範囲は大きく異なります。特に注目したいのは、近年リスクが高まっているうつ病などの精神疾患もカバーしているかどうかです。保険料の安さだけで選ぶと、必要な保障が得られないことがあるため注意しましょう。
5-3. 単体(主契約)か特約かの選択
就業不能保険には、就業不能だけに備える単体タイプと、主契約(生命保険等)に特約として付帯するタイプの2つがあります。特約タイプの場合、主契約が生命保険であれば、被保険者が死亡または高度障害状態になると保険金を受け取れ、高度障害状態に至らなくても所定の就業不能状態に該当すれば特約により年金・給付金を受け取れます。ただし保障対象となる疾病の範囲が狭かったり、給付金の受け取り条件が厳しくなったりする場合もあるため、事前の確認が重要です。
5-4. 復職後の給付の有無
無事に働けるようになったとしても、以前と変わらず働けるとは限りません。条件を満たせば復職後も給付が続くタイプを選んでおくと安心です。
5-5. 免責期間の長さ
就業不能保険は、働けない状態になってから所定の日数が経過して初めて給付を受け取れるしくみになっています。この期間を「免責期間」といい、免責期間が長いほど月々の保険料は安くなります。免責期間は60日や180日といった日数が一般的ですが、選択できる商品もあります。
ここで考慮したいのが傷病手当金との兼ね合いです。傷病手当金を受給できる会社員であれば、1年6ヶ月の受給期間があるため、免責期間を長めにして保険料を抑えるという選択肢があります。逆に、傷病手当金をもらえない自営業者の場合は、できるだけ免責期間が短いものを選ぶほうがよいでしょう。
なお、就業不能保険は生命保険会社が取り扱う商品であるのに対し、損害保険会社には「所得補償保険」という商品があります。こちらもやはり働けなくなったときを補償する保険ですが、免責期間を7日など短く設定できる場合があるため、傷病手当金をもらえない自営業者は検討する価値があります。所得補償保険は基本的には就業不能保険と同様の保険です。
まとめ:給与所得者か自営業者か、ニーズに合わせて加入を判断
就業不能保険の必要性は、会社員・公務員なのか自営業者なのかによって大きく変わります。まずは公的保障でカバーできる部分を確認し、貯蓄や、会社員であれば福利厚生なども踏まえたうえで、不足する部分を就業不能保険で補うことを検討するとよいでしょう。
商品ごとに個性があるため、自分のニーズに合った商品を見つけるにはある程度の比較検討が大切です。ここで挙げたポイントを参考にしながら、自分が備えたいリスクに合わせて選択してください。
※本記事は編集部が作成した一般的な参考情報です。特定の商品・保険会社を推奨するものではなく、断定的な提案でもありません。実際の要否は、各代理店の窓口で保険募集人にご確認ください。統計・制度に関する数値は今後変更される可能性があるため、最新の情報をあわせてご確認ください。
ほけんスコア編集部
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