リスクがこわい!?ドル建て終身保険選びの3つのチェックポイント
貯蓄効果が期待できる一方、為替変動によるリスクもあるドル建て終身保険。しくみとメリット・デメリット、向き不向き、商品選びで確認したい3つのポイントを解説します。
ドル建て終身保険は貯蓄効果の高い保険ですが、その貯蓄効果が目減りしてしまうこともあるリスクをあわせ持つ商品です。
もちろん、加入する人や貯蓄の目的によっては有効な商品であることも間違いありません。将来「入っておいてよかった」と思えるかどうかは、ドル建て終身保険のしくみを理解し、自分の目的に合っているかどうかを判断したうえで加入できるかにかかっています。
ドル建て終身保険を勧められている、あるいは検討しているという方は、メリット・デメリットと、商品を選ぶときの最低限のチェックポイントを知ったうえで、具体的な商品を検討してください。
1. ドル建て終身保険はこんな保険
ドル建て終身保険は、「ドル建て」という言葉のとおり、円ではなくドルをベースにして作られた終身保険です。保険の機能としては通常の終身保険と同じく、死亡保障が一生涯続く生命保険です。なお、ここでは米ドルを想定して説明しますが、豪ドル建ての終身保険についても基本的な考え方は同様です。
1-1. 保険料・積立金の運用・保険金の支払いがすべてドル建て
ドル建て終身保険では、基本的に保険会社はドルで保険料を受け取り、積立金をドルで運用し、保険金や解約した場合の解約返戻金をドルで支払います。
自分はドルを持っていないし、日本円で保険料を払って日本円で保険金を受け取るのにどういうことか、と思う方もいるかもしれませんが、いわばアメリカの終身保険に加入するようなイメージだと考えるとわかりやすいでしょう。たとえば保険料はドルでいくらと決まっているため、契約者が保険会社に保険料を支払うときには、そのつどそのときのドル・円レートで円換算して支払います。保険金を受け取るときも、ドルで支払われる保険金をそのときのレートで換算して日本円で受け取ります。もちろん、ドル資産を持っている人がドルのまま保険料を支払ったり、将来ドルのまま保険金を受け取ったりすることも可能です。
1-2. ドル建てが生まれた理由は、円よりドルの金利が高いから
ドル建ての終身保険が生まれた理由は、円よりもドルの金利が高いことにあります。日本では低金利が長く続いており、円建ての終身保険だけでは十分な貯蓄性を持たせた商品をつくりにくいという事情があります。一方、ドルで保険を設計すれば、ドルでの運用利率が高いぶん、貯蓄性のある保険にしやすくなります。
1-3. その他の機能
ドル建て終身保険は、商品によっては死亡保障を年金の受け取りに切り替えられるものがあります。また、保険料を月々払うのではなく契約時に一括して支払う一時払タイプもあり、円高のときに契約して円安のときに解約すれば、外貨投資商品のように活用することもできます。
1-4. ドル建てだからこその3つの注意点
終身保険というしくみ自体は、ドル建てでも円建てでも変わりません。しかしドル建ての場合は、保険会社とのお金のやり取りにドル・円の両替が発生するため、注意したい点があります。
(1) 支払う保険料の額が変わる
ドルベースの保険料は一定ですが、為替レートの変動により日本円に換算した保険料は変わります。円高になれば安くなり、円安になれば高くなるため、急激に円安が進むと保険料負担が重くなる場合があります。
(2) 受け取る保険金や解約返戻金の額が変わる
ドルベースの保険金や解約返戻金の金額が決まっていても、為替レートの変動により日本円換算の受取額は変わります。受け取るときに円高になっていれば少なくなり、円安になっていれば多くなり、場合によっては元本割れになることもあります。
(3) 為替手数料がかかる
保険料や保険金・解約返戻金の受け渡しの際、ドル・円の両替に為替手数料がかかります。円建ての保険にはないコストを負担することになるため、あらかじめ確認しておきましょう。
2. ドル建て終身保険のメリット
ドル建て終身保険には、主に以下のようなメリットがあります。
- 円建てに比べて貯蓄効果(ドルベースでみた場合)が高い
- 保険金・解約返戻金等を受け取るときに円安になっていると受取額が増える
- 資産運用という側面でみると、ドル資産への分散投資になる
- ドル資産を保有することになるため、将来円の価値が下がった場合のリスク分散になる
3. ドル建て終身保険のデメリット
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 為替変動により支払う保険料が変動する(高くなる場合もある)
- 為替変動により受け取る保険金・解約返戻金の額が減少し、元本割れするリスクがある
- 為替手数料などのコストがかかる
4. ドル建て終身保険が向いている人・向いていない人
ドル建て終身保険は、ドルという通貨だけで考えれば通常の終身保険と同じですが、契約するのは日本人で、大部分の人が日本円でのやり取りを行うことになります。そのため、どうしても為替レートの影響を受けることになり、為替リスクを負うことになります。
たとえば過去の為替レートの推移を見ると、1ドル=80円台になったり120円台になったりと、上下に大きく変動してきました。80円から120円では、割合にして50%価格が変動したことになります。
このような商品特性を踏まえると、ドル建て終身保険には向いている人と向いていない人がいるといえます。
向いている人
- 余裕資金を長期的に運用したい人
- 自分の資産を円だけでなく外貨に分散して保有したい人
- 将来、海外に移住したり子どもが海外留学したりする際の資金を貯めたい人
- 投資として将来の円安に備えたい人(想定が外れても受け入れられる人)
- 為替リスクを正しく理解している人
向いていない人
- 将来必要な金額が決まっていて、足りないと困るような資金を貯めたい人
- 元本割れを避けたい人
- 為替リスクを正しく理解していない人
- 途中で保険料が上がると支払えなくなる可能性がある人
5. ドル建て終身保険を選ぶときの3つのチェックポイント
ここまでの為替リスクを理解したうえで加入を検討する場合は、具体的に商品を選ぶ際に以下の点をチェックしましょう。
5-1. 積立利率、または解約返戻金の返戻率
ドル建てでの積立利率や解約返戻金の返戻率を比較しましょう。これらの数字が高いほど、貯蓄効果が高い商品といえます。
5-2. 為替手数料
保険料の支払いや保険金・解約返戻金の受け取りにあたってドル・円の両替が発生しますが、このときに保険会社に支払う為替手数料がいくらかを比較しましょう。為替手数料は保険会社によって差があり、長期の契約の中でこの差が貯蓄効果に影響を及ぼします。
5-3. 保険金の据え置き
保険金が出たときに、すぐに受け取らずドルのまま預けておける保険もあります。このタイプであれば、保険金を受け取るタイミングが円高であっても、しばらくドルのまま据え置いて、将来円安になったときに受け取るということも可能です。
まとめ:リスクは高いが、外貨に分散した資産づくりができる
ドル建て終身保険は、ドルベースでみると円建ての終身保険よりも貯蓄性の高い保険です。しかし為替レートの変動により、支払う保険料や将来受け取る保険金は大きく変動します。為替の動向によっては保険金が大きく増えることもあれば、逆に減ってしまうこともあります。
こうした商品特性・リスクを理解したうえで、将来の円安に備えて分散投資をしたい人や、外貨資産を蓄えたい人にとっては有効な選択肢の一つといえます。ただし、遺族への保障としてドル建て終身保険を検討している場合は、保険金が目減りするリスクがあることに注意しておきましょう。
※本記事は編集部が作成した一般的な参考情報です。特定の商品・保険会社を推奨するものではなく、断定的な提案でもありません。実際の要否は、各代理店の窓口で保険募集人にご確認ください。統計・制度に関する数値は今後変更される可能性があるため、最新の情報をあわせてご確認ください。
ほけんスコア編集部
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