介護保険の申請方法と正しく認定されるための5つのポイント
公的介護保険の要介護認定を受けるための申請方法、認定調査の流れ、要介護度の判定基準をわかりやすく解説。認定結果に納得できない場合の対応方法もまとめます。
公的な介護保険で要介護認定を受けるときには、どのような手続きが必要で、どのように要介護度が決まっていくのでしょうか。介護を受けたり、家族の介護をしたりする状況になるまでは、制度の内容がわかりにくいものです。
ここでは、要介護認定の申請方法から、認定の基準・調査内容、認定結果に納得がいかない場合の対応方法まで、公的介護保険の申請にまつわる疑問を整理します。以下、介護保険というときは公的介護保険を指します。
要介護認定を受けるための申請方法
介護保険サービスを受けたいときには、公的介護保険の要介護認定を受ける必要があります。
対象者
介護保険サービスの対象者は、年齢によって条件が異なります。
| 区分 | 対象者 |
|---|---|
| 65歳以上(第1号被保険者) | 寝たきりや認知症などにより介護を必要とする状態(要介護状態)、または日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった人 |
| 40〜64歳(第2号被保険者) | 初老期の認知症・脳血管疾患など、老化が原因とされる特定疾病(16種類)により要介護・要支援状態になった人 |
申請先と必要書類
要介護認定の申請は、居住地域の市区町村へ行います。申請は本人または家族が行うほか、地域包括支援センターやケアマネジャー、介護保険施設に代行してもらうことも可能です。主な必要書類は以下のとおりです。
- 介護保険認定申請書(各市区町村の窓口で入手)
- 介護保険被保険者証(40〜64歳の場合は健康保険証)
- 主治医・かかりつけ病院の連絡先がわかる診察券やメモなど
申請から認定までの流れ・期間
申請後、調査員の訪問による認定調査と主治医からの意見書の取り寄せが行われ、その結果にもとづいてコンピュータによる一次判定、介護認定審査会による二次判定が行われて要介護度が判定されます。要介護認定は、原則として申請から30日以内に行われますが、訪問調査や主治医の意見書取得に時間がかかる場合は延長されることがあります。
認定を受けた場合の有効期間は、新規申請・区分変更の場合は原則6ヵ月、更新申請の場合は原則12ヵ月です(2026年9月時点の制度に基づく)。本人の心身状態などに応じて、有効期間が短縮・延長される場合もあります。有効期間が終了する前に、更新の手続きが必要です。
要介護認定 申請から認定までの流れ・期間の目安
要介護認定の方法と基準
要介護認定は、心身の状態確認と、それにもとづく審査判定の2段階で行われます。
心身の状態確認
- 認定調査(訪問調査): 市区町村の職員または委託を受けたケアマネジャーが、申請者の自宅や入院先などを訪問し、本人・家族から心身の状況を聞き取る
- 主治医意見書: 市区町村が主治医に依頼し、医学的な意見書を作成してもらう。主治医がいない場合は市区町村指定医の診察が必要
審査判定
認定調査の結果と主治医意見書をもとに、コンピュータによる一次判定と、保健・医療・福祉の専門家からなる介護認定審査会による二次判定が行われ、最終的な要介護度が決まります。
要介護度の区分
審査の結果、介護の状態区分は非該当および要支援1〜要介護5までの8段階に判定されます。入浴・排せつ・食事等の介護、家事援助、歩行訓練などにかかる時間を基準とした「要介護認定等基準時間」が、区分の目安の一つになります。
| 区分 | 状態の目安 |
|---|---|
| 非該当 | 基準時間25分未満、または特定疾病に該当しない第2号被保険者 |
| 要支援1・2 | 基準時間25分以上50分未満程度。要介護状態となるおそれがあり、日常生活に支障が見込まれる状態 |
| 要介護1〜5 | 基準時間50分以上(要介護5は110分以上)。身体または障害により、日常生活の基本動作に継続して介護が必要と見込まれる状態 |
認定調査で確認される主な項目
訪問調査では、身体機能・生活機能・認知機能などの区分ごとに細かい調査項目が設定されています。
| 区分 | 主な調査項目 |
|---|---|
| 基本的な動作・起居 | 麻痺の有無、寝返り、起き上がり、歩行、立ち上がりなど |
| 生活上の介助 | 移動、食事摂取、排尿・排便、着脱、外出頻度など |
| 認知機能 | 意思の伝達、日課の理解、短期記憶、場所の理解など |
| 行動障害 | 被害的言動、しつこく同じ話をする、介護への抵抗など |
| 社会生活上の能力 | 薬の内服、金銭管理、日常の意思決定、買い物、簡単な調理など |
| その他 | 過去14日間に受けた点滴・透析・酸素療法などの特別な医療 |
実際の調査票は厚生労働省の資料で確認できます。
正しく認定してもらうための5つのポイント
介護認定は、調査による統計的な判定と、審査会による総合的な判定で決まります。基礎データとなる心身状態が正しく伝わっていないと、判定結果にも影響します。
- 普段の介護の状況を整理しておく: どのような介護をしているか、メモなどで事前に整理しておく
- 認定調査の内容を把握しておく: どのような質問があるかをあらかじめ知っておくと、正確に状況を伝えやすい
- 状況をわかっている家族が立ち会う: 本人と家族の認識にずれがある場合や、認知症の症状で本人だけでは説明が難しい場合がある
- 体裁を気にせず実際の状況を話す: できないことをできると答えると、介護状態が実際より軽く判断されるおそれがある
- 主治医とよくコミュニケーションをとっておく: 普段の介護の様子を主治医に伝えておくと、意見書の内容にも反映されやすい
認定結果に納得がいかないときにできること
判定結果が想定より軽い、あるいは前回と異なるなど、納得がいかない場合は、まず市区町村の担当窓口に相談することが基本です。それでも納得がいかない場合、以下の対応が考えられます。
- 認定調査の情報開示: 市区町村の窓口に申請し、認定調査票や主治医意見書の内容を確認する
- 不服申し立て(審査請求): 都道府県の介護保険審査会に対し、認定の通知を受けた日の翌日から3ヵ月以内に審査請求を行う
- 区分変更の申請: 認定期間中に介護の状態が著しく変化した場合に、要介護度の変更を申請する。ただし、認定のやり直しを目的とした制度ではない点に注意が必要
一般的には、まず窓口に説明を求め、それでも納得がいかない場合に情報開示を求めて調査結果を確認し、不正・不当な扱いがあったと考えられる場合は審査請求、事実や認識にずれがあった場合は区分変更の申請を検討する、という順序で対応が検討されます。
まとめ
介護保険の要介護認定は、各市区町村への申請にもとづいて認定調査が行われ、日常生活でどのような介護を必要としているかが判定されます。調査項目は多岐にわたり、伝え方によって調査員に誤解を与えてしまうこともあるため、事前に調査内容を把握し、普段の介護状況を整理しておくことが大切です。公的介護保険だけでは介護費用をまかないきれない場合に備え、民間の介護保険もあわせて検討する価値があります。
※本記事は編集部が作成した一般的な参考情報です。特定の商品・保険会社を推奨するものではなく、断定的な提案でもありません。実際の要否は、各代理店の窓口で保険募集人にご確認ください。統計・制度に関する数値は今後変更される可能性があるため、最新の情報をあわせてご確認ください。
ほけんスコア編集部
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