パッとわかる!生命保険の税金の種類と受けとり額の計算事例
生命保険の死亡保険金を受けとるときにかかる税金は、契約形態によって相続税・贈与税・所得税のいずれかになります。税金の種類の見分け方と、受けとり額の計算事例を紹介します。
生命保険の保険金を受け取るときにも、税金がかかることをご存じでしょうか。
生命保険の死亡保険金にかかる税金の種類は、契約形態によって相続税・贈与税・所得税の3種類に分かれ、同じ金額の保険金だったとしても、税金の種類によって手取り額が異なります。(ちなみに、医療保険で支払われる給付金は原則非課税です。)
ここでは、生命保険と税金の関係を図表を使ってわかりやすく整理します。税金の種類によって受けとり額がどれだけ変わるかの計算事例も紹介しますので、契約内容を確認する参考にしてください。なお、税制は将来改正される可能性があるため、本記事の内容は2026年9月時点の制度に基づいています。実際の申告にあたっては、最新の制度・税理士への相談をあわせてご確認ください。
生命保険の税金を理解するための3つの用語
まずは、生命保険の税金を理解するために欠かせない3つの用語を確認しておきましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 契約者 | 保険の契約を結び、保険料の支払いをする人 |
| 被保険者 | 保険の対象となる人 |
| 保険金受取人 | 保険金を受け取る人 |
契約者とは
保険会社と保険契約を結び、保険契約の義務や権利を持つ人のことです。義務のなかに保険料を負担することが含まれるため、一般的には契約者が保険料の支払いを行います。
被保険者とは
保険契約の対象となる人のことです。生命保険に加入するときに健康状態をチェックされるのは被保険者であり、一度契約を結ぶと被保険者を変更することはできません。
保険金受取人とは
生命保険の保険金を受け取る人のことです。保険金受取人は、契約者からの手続きによって変更することができます。
生命保険の死亡保険金を受けとるときの税金一覧
契約者・被保険者・保険金受取人の関係をもとに、税金の種別を整理すると次のようになります。保険料を支払ったのは誰か、保険金を受けとったのは誰か、この2点をおさえるだけで理解しやすくなります。
| 契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
|---|---|---|---|
| 夫 | 夫 | 妻や子 | 相続税 |
| 夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
| 夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
契約者・被保険者・受取人の関係と税金の種類(イメージ)
相続税が課税される場合
契約者(保険料を支払った人)=被保険者の場合は、相続税となります。特殊なケースを除き、基本的にはこのシンプルな考え方で判断できます。契約者である夫が自分自身に保険をかけ、自ら保険料を支払っているため、夫が亡くなることで夫の資産が妻に渡るのと同じ扱いになるためです。
相続税となるパターンの場合には、生命保険の非課税枠が適用され、「500万円×法定相続人の数」が非課税となります(2026年9月時点の制度に基づく。出典:国税庁「相続税がかかる財産」)。
たとえば、家族構成が夫・妻・子2人で夫が死亡した場合、法定相続人は妻・子2人の計3人となるため、非課税枠は「500万円×3人=1,500万円」です。この場合、生命保険の保険金に対して1,500万円までが非課税となります。ただし、相続人以外の人や相続を放棄した人が死亡保険金を受けとる場合は、非課税枠は適用されず、受けとった死亡保険金は全額が相続税の課税対象となります。
贈与税が課税される場合
契約者(保険料を支払った人)、被保険者、保険金受取人が全て異なる場合、贈与税となります。たとえば契約者が夫、被保険者が妻、保険金受取人が子というケースです。この場合、子が妻の死亡保険金を受けとるときに、保険料を支払った夫が生存しているため、税法上、夫の資産を子に贈与したとみなされます。
所得税が課税される場合
契約者(保険料を支払った人)=保険金受取人の場合は、所得税となります。たとえば契約者が夫、被保険者が妻、保険金受取人が夫というケースです。この場合、保険料を支払った人(夫)と保険金受取人(夫)が同一のため、所得税となります。
なお、所得税は死亡保険金の受けとり方によって、一時所得または雑所得として課税されます。
- 一時所得: 死亡保険金を一括で受けとった場合
- 雑所得: 死亡保険金を年金として受けとった場合
税金により受けとり額はこう違う(1,000万円の死亡保険金を受けとる場合)
同じ1,000万円の死亡保険金でも、税金の種類によって手取り額がどれだけ変わるか、簡略化した計算事例で確認してみましょう(実際の税額は、他の所得・控除の有無などにより変動します)。
相続税のケース
契約者:夫、被保険者:夫、保険金受取人:妻という契約で計算します。法定相続人が妻・子2人の計3人の場合、非課税枠は「500万円×3人=1,500万円」となり、死亡保険金1,000万円は全額が非課税枠の範囲内におさまります。つまり、この場合は1,000万円全額を受けとることができます。
贈与税のケース
契約者:夫、被保険者:妻、保険金受取人:子という契約で計算します。死亡保険金から基礎控除額110万円を差し引いた額が課税価格となり、課税価格に税率をかけた金額から控除額を差し引いた額が贈与税額となります(2026年9月時点の制度に基づく。出典:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」)。
贈与税の速算表(一般税率)
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | ー |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
その年に保険金以外の贈与を受けていない場合、計算は以下のようになります。
- 1,000万円 − 110万円(基礎控除額) = 890万円(課税価格)
- 890万円 × 40% − 125万円(控除額) = 231万円(贈与税額)
- 1,000万円 − 231万円(贈与税) = 769万円を受けとることができます
所得税のケース
契約者:夫、被保険者:妻、保険金受取人:夫という契約で計算します。一括で受けとった場合(一時所得)は、受けとった保険金額から払込保険料と特別控除額50万円を差し引いた金額が一時所得となり、その1/2が課税対象となって、その年の他の所得と合算した上で所得税額を計算します(2026年9月時点の制度に基づく。出典:国税庁「所得税の税率」)。
所得税の速算表
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | ー |
| 195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
その保険に払い込んだ保険料を仮に30万円、受けとった死亡保険金以外に一時所得がないものとして計算すると、以下のようになります。
- 1,000万円 − 30万円 − 50万円(特別控除額) = 920万円(一時所得)
- 920万円 × 1/2 = 460万円(他の所得と合計して総所得金額から税額を計算)
- 仮に所得税率が20%に該当するとした場合、460万円 × 20% − 427,500円(控除額) = 492,500円
- 1,000万円 − 492,500円 = 950万7,500円を受けとることができます
年金として受けとる場合(雑所得)は、その年に受けとった年金額から、その年分に対応する払込保険料を差し引いた金額が雑所得となり、受けとり時には原則として所得税が源泉徴収されます。
死亡保険金1,000万円を受けとる場合の税金別の手取り額(記事本文の計算例)
注意しておきたい契約パターン
比較的よくみられる契約形態として、次のようなケースがあります。ご自身の保険契約と照らし合わせて確認してみてください。
- 契約者:妻
- 被保険者:妻
- 保険金受取人:子
- 引き落とし口座:夫
妻が契約者・被保険者の保険契約のとき、夫の口座を生活口座としているため、保険料の引き落とし口座を夫にするケースがあります。この場合、引き落とし口座を妻ではなく夫に指定すること自体は可能ですが、実際に死亡保険金や解約返戻金を受けとったとき、税法上は相続税ではなく贈与税とみなされる可能性があります。
今回のパターンでは、引き落とし口座を妻にしておけば相続税となり、税率が低くなるほか非課税枠も適用されます。保険契約の「保険料を払っている人」と「保険金を受けとる人」がどのような関係にあるかを、日頃から把握しておくことをおすすめします。
満期保険金と税金
満期保険金は、被保険者が満期日まで生存していた場合に、保険会社から保険金受取人へ支払われるお金です。満期保険金についても、保険金受取人を保険料負担者以外の第三者にしてしまうと、贈与税の対象となり税率が高くなってしまうことがあるため注意が必要です。
リビングニーズ特約
生命保険には、リビングニーズ特約という無料で付加できる特約があります。この特約がついている場合、余命6カ月以内と診断されたときに、生きているうちに保険金を受けとることができます。生きるための治療にお金を使うことも、残された時間を大切に過ごすためにお金を使うことも、本人が自由に選択できるという特約です。
上限額が定められている点には注意が必要ですが、受けとったお金は非課税で、使い方も自由に決めることができます。無料で付加できる特約のため、これから生命保険に加入する方も、すでに加入している方も、契約内容を確認してみるとよいでしょう。
まとめ:生命保険に加入するときは契約形態を必ず確認しよう
生命保険の死亡保険金を1,000万円受けとる場合、相続税の対象で法定相続人が受けとるケースでは非課税枠内であれば1,000万円をそのまま受けとれますが、贈与税の対象となった場合は、条件にもよりますが769万円程度の受けとりとなり、手取り額に大きな差が生まれることがあります。
これは家計にとって見過ごせない差になるため、既に加入している保険については契約内容を確認しておきましょう。また、新たに死亡保険を検討する際は、契約者と被保険者を同一にし、かつ契約者が保険料を支払う形にすると、相続税の非課税枠を活用しやすくなります。保険証券を見ても不明な点がある場合は、保険の窓口や税理士などの専門家に相談し、一緒に確認することをおすすめします。
※本記事は編集部が作成した一般的な参考情報です。特定の商品・保険会社を推奨するものではなく、断定的な提案でもありません。実際の要否は、各代理店の窓口で保険募集人にご確認ください。統計・制度に関する数値は今後変更される可能性があるため、最新の情報をあわせてご確認ください。
ほけんスコア編集部
Googleの公開データをもとに保険の窓口を客観的に比較・解説する、ほけんスコアの編集チームです。
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