雇用保険|失業以外でも使える3つの給付の活用マニュアル
雇用保険は失業したとき以外にも使えることをご存じですか。教育訓練給付金・育児休業給付・介護休業給付など、会社員が知っておきたい雇用保険の給付を解説します。
会社員であれば、多くの人が給与から天引きの形で保険料を支払っている雇用保険。「失業保険」という通称のとおり、失業したときに基本手当を受け取れる制度として知られていますが、実は失業していなくても利用できる給付が複数あります。
たとえば、スキルアップのための講座費用の一部が支給される教育訓練給付金や、育児・介護のために休業する際に給与の代わりとなる給付を受けられる育児休業給付・介護休業給付などです。これらは自分で申請しなければ受け取れないものも多く、知らないままでは損をしてしまう可能性があります。
この記事では、会社員を続けながらでも利用できる雇用保険の主な給付について、2026年9月時点の制度に基づいて紹介します。
1. 失業以外でも使える雇用保険の主な給付
雇用保険には、失業した場合の手当のほか、働き続けながら利用できる給付がいくつも用意されています。現役世代が会社に勤めながら利用しやすい代表的な給付は、以下の3つです。
- 教育訓練給付金
- 育児休業給付
- 介護休業給付
それぞれの給付の概要を順に見ていきましょう。
2. スキルアップに使える教育訓練給付金
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した場合に、支払った費用の一部が支給される制度です。対象講座のレベルに応じて、給付率の異なる3種類が用意されています(2026年9月時点、出典:厚生労働省)。
| 種類 | 給付率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講費用の20% | 10万円 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 受講費用の50% | 25万円 |
| 専門実践教育訓練給付金 | 受講費用の50%(修了後の資格取得・就職等で追加20%、賃金上昇要件を満たせばさらに10%、最大80%) | 年間上限40万円(追加分を含め最大4年間で224万円) |
一般教育訓練給付金は、TOEICや簿記検定、パソコン系の認定試験など、会社員が働きながら取得することが多いビジネス系の資格・検定が幅広く対象です。支給額が4,000円以下の場合は支給されない点には注意してください。
特定一般教育訓練給付金は、業務独占資格やIT分野の講座など、早期のキャリア形成に資すると認定された講座が対象で、一般より高い給付率が設定されています。
専門実践教育訓練給付金は、看護師や社会福祉士などの業務独占資格の養成施設や、専門職大学院などが対象です。受講中に50%が6ヵ月ごとに支給され、修了後1年以内に資格取得等をして雇用保険の被保険者として就職すると追加で20%、さらに訓練前後で賃金が5%以上上昇した場合は追加で10%が支給され、最大で受講費用の80%まで受け取れます(2024年10月以降に受講を開始した人が対象、出典は上記と同じ)。
対象となる講座は多岐にわたるため、具体的な講座を知りたい場合は厚生労働省の教育訓練講座検索システムで確認できます。申請できる人の要件(雇用保険の被保険者期間など)や申請期限は講座の種類によって細かく定められているため、詳細は受講前にハローワークまたは受講予定の教育機関にご確認ください。
3. 子育て中に使える育児休業給付
育児休業給付は、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した雇用保険の被保険者が受け取れる給付です。保育所に入れないなどの理由がある場合は、最長2歳まで延長できます。男性・女性のどちらでも申請でき、パパが育児休業を取る場合にも利用できます。
支給額は、休業開始から6ヵ月間は休業開始時賃金日額の67%、それ以降は50%です(支給の上限額は毎年8月に改定されます、出典:厚生労働省)。
さらに2025年4月からは、子の出生直後に夫婦ともに一定期間の育児休業を取得した場合に、休業開始時賃金日額の13%相当が上乗せされる出生後休業支援給付金が新設されました。既存の育児休業給付(67%)とあわせると、休業開始前賃金の手取りの実質10割相当を最大28日間受け取れる計算になります(2026年9月時点の制度に基づく、出典は上記と同じ)。対象となるには、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業終了後8週間以内に、それぞれ育児休業を14日以上取得することなどの要件があります。
育児休業給付の支給率イメージ(2026年9月時点、休業開始時賃金日額に対する割合)
育児休業給付の申請は、原則として会社を通じて行います。福利厚生の体制が整っていない小規模な会社などでは、申請漏れを防ぐためにも自分から担当部署に育児休業を取得したい旨と給付の申請を依頼しておくと安心です。
4. 家族を介護するときに使える介護休業給付
介護休業給付は、2週間以上にわたり常時介護が必要な状態にある家族を介護するために、会社に申し出て休業を取得した場合に支給される給付です。対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できます。
支給額は、休業開始時賃金日額の67%です(2026年9月時点、出典:厚生労働省)。会社から給与が支払われている場合は、給与と給付金の合計が休業前賃金の一定割合を超えないよう、支給額が調整・停止されることがあります。
介護休業給付も、原則として会社を通じて申請します。育児休業給付と同様、申請漏れを防ぐためにも、自分から担当部署に相談しておくとよいでしょう。
5. 定年後の賃金低下に備える高年齢雇用継続給付
現役世代向けの給付ではありませんが、60歳以降も雇用が継続される場合や再就職した場合で、賃金が60歳時点の75%未満に低下したときに、高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金を受け取れる制度もあります。
この給付率は制度改正により縮小されており、2025年4月1日以降に60歳に達する人は、賃金の低下率が64%以下の場合で最大10%です(2025年3月31日以前に60歳に達した人は、経過措置として引き続き最大15%が適用されます、出典:厚生労働省)。定年が近い方は、ご自身がどちらの給付率の対象になるか、あわせて確認しておくとよいでしょう。
まとめ
雇用保険は、保険料を給与から天引きされている一方で、実際に給付を受けたことがないという人も多いのではないでしょうか。しかし、教育訓練給付金・育児休業給付・介護休業給付など、失業以外にも活用できる給付が複数用意されています。特に教育訓練給付金は、スキルアップや資格取得の費用負担を軽くできる制度なので、対象講座があればぜひ活用を検討してみてください。また、これから結婚・出産を控えている方は、育児休業給付や出生後休業支援給付金の存在を知っておくと、休業中の収入面の不安をある程度解消できます。制度の給付率・上限額は改正されることがあるため、実際に申請する際は、最新の情報をハローワークの窓口などでご確認ください。
※本記事は編集部が作成した一般的な参考情報です。特定の商品・保険会社を推奨するものではなく、断定的な提案でもありません。実際の要否は、各代理店の窓口で保険募集人にご確認ください。統計・制度に関する数値は今後変更される可能性があるため、最新の情報をあわせてご確認ください。
ほけんスコア編集部
Googleの公開データをもとに保険の窓口を客観的に比較・解説する、ほけんスコアの編集チームです。
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