解約返戻金とは?|しくみや活用法、保険解約時の6つの注意点
解約返戻金とは、保険を解約したときに保険会社から戻ってくるお金のことです。しくみ、ある保険・ない保険の違い、税金の扱い、解約時の注意点を解説します。
保険を解約したときに戻ってくる「解約返戻金」。そもそもどのようなお金なのか、どれくらい戻ってくるのか、税金はかかるのかなど、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
しくみを知らないまま解約すると、お金が戻ってくると思っていたのに実際にはなかった、という失敗をする可能性もあります。この記事では、解約返戻金のしくみ、解約返戻金のある保険・ない保険、活用方法、保険を解約する際の注意点を解説します。
1. 解約返戻金とは
解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは、終身保険や養老保険など貯蓄性のある保険を解約したときに戻ってくるお金のことです。ただし、どんな保険でも戻ってくるわけではなく、保険の種類や商品、契約プランなどによって有無や金額が異なります。
1-1. なぜ解約返戻金があるのか(しくみ)
生命保険会社は、将来の保険金の支払いに備えるため、加入者が支払う保険料の一部を「責任準備金」として積み立てています。この積立金の一部が、保険を途中で解約した場合に解約返戻金として払い戻されるしくみです。
責任準備金は、生命保険会社が将来の保険金・給付金・年金等を支払うために収入保険料の一部を積み立てているもので、保険業法で義務づけられています。満期保険金のある保険商品ほど、支払いに備えて多くの積立額が必要になるため、責任準備金の額も大きくなります。貯蓄性の高い保険ほど責任準備金が多く積み立てられ、解約時の返戻金も大きくなる関係にあります。
一般的には、解約返戻金はそれまでに支払った保険料の総額よりも少ない額になります。また、掛け捨てと呼ばれる定期保険では、解約返戻金がまったくないか、あってもごくわずかであるのが通常です。終身保険や養老保険などの貯蓄性の高い保険ほど金額が大きくなり、加入期間の長さによっても金額が変わってきます。
保険の種類による解約返戻金の推移イメージ ※実際の金額・増え方は商品・契約内容により異なります
2. 解約返戻金のある保険・ない保険
解約返戻金は、すべての生命保険にあるわけではありません。
解約返戻金のある主な保険
| 保険種類 | 特徴 |
|---|---|
| 終身保険 | 一生涯の保障があり、いつかは必ず死亡保険金を支払うことになるため積立金が多く、保険期間が長くなるにつれて解約返戻金が増えていく |
| 養老保険 | 満期まで生存しても、途中で死亡しても既定の保険金を支払うため積立金が多く、解約返戻金も増えていく |
| 個人年金保険 | 所定の年齢から一定期間または一生涯年金を受け取れる貯蓄型の保険。将来の年金支払いに備えた積立金があり解約返戻金がある |
| 学資保険 | こどもの教育費を貯蓄するための保険。積立金が多く解約返戻金がある |
解約返戻金のない(または少ない)主な保険
| 保険種類 | 特徴 |
|---|---|
| 定期保険 | 保険期間終了まで生存すれば保険金の支払いは不要で、積立金もほとんど不要なため、解約返戻金はほとんどないか、あってもごくわずか(長期定期保険を除く) |
| 収入保障保険 | 定期保険の仲間で、一定期間の死亡保障をする保険のため、基本的に解約返戻金はない |
| 医療保険・がん保険 | 満期保険金などがなく、規定の治療を行ったときのみ給付金が支払われる保険のため、多くの商品で解約返戻金がない。保険期間が終身の商品でも、解約返戻金が発生しない設計が主流 |
解約返戻金の具体的な金額は、商品・契約プラン・経過期間によって異なります。加入時にもらった保険設計書で確認するか、正確な金額を知りたい場合は生命保険会社に直接問い合わせるとよいでしょう。
3. 解約返戻金の活用例
保険によっては、解約返戻金があることを利用して、保障目的だけでなく貯蓄目的で活用することもできます。たとえば終身保険には、あらかじめ決めた年齢・期間ですべての保険料を払い終える「短期払い」という契約方法があり、払込みが終わった後は解約返戻金の額が総支払保険料を上回っていくという特長を持つ商品もあります。支払った金額よりも受け取る金額が増える局面があるため、貯蓄のように活用することも可能です。老後の生活資金や介護資金、こどもの教育資金(学資保険の代わり)を準備する目的で活用されることもあります。
4. 解約返戻金で利益が出たら税金がかかる
生命保険を解約して解約返戻金を受け取ると、税金がかかる場合があります。契約者(保険料負担者)と解約返戻金の受取人が同じ場合、利益が出たとき(解約返戻金が支払った保険料の総額を上回ったとき)は一時所得として所得税・住民税の対象になります。一時所得の金額は「(解約返戻金 − 払込保険料総額 − 特別控除50万円) × 1/2」で計算されます(2026年9月時点の制度、出典:国税庁「生命保険契約に基づく満期保険金等を受け取ったとき」)。
一方、夫が妻の保険料を負担するなど、保険料を支払った人と解約返戻金を受け取った人が別人の場合は、贈与税の対象になります。この場合は利益が出ているかどうかにかかわらず、受け取った解約返戻金の額に応じて贈与税がかかります。どちらの税金が発生するかで扱いが大きく異なるため、契約者・保険料負担者・受取人の関係は事前に確認しておくとよいでしょう。
5. 保険を解約する場合の6つの注意点
生命保険を解約する場合や解約返戻金を受け取る場合には、以下のようなことに注意が必要です。
- 解約返戻金額を事前に確認する: 解約したい場合は、解約返戻金の有無・金額をしっかり確認してから解約しましょう。契約後も定期的に確認しておくと安心です
- 契約者貸付・保険料の自動振替貸付があれば相殺される: これらの制度を利用している場合、生命保険会社から借りている金額が解約返戻金から差し引かれます
- 解約返戻金に税金がかかることがある: 利益が出たときの所得税、受取人が異なる場合の贈与税について、詳細は税務署や税理士に確認しましょう
- 本当に解約してよい保険か再検討する: 貯蓄目的で計画していた場合を除き、保障が必要で加入した保険を、解約返戻金目当てで解約してしまうのは本末転倒です
- 保険の見直し・入り直しのときは解約を後にする: 新しい保険の契約が成立した後に、古い保険を解約しましょう。先に解約すると、新しい保険に入れなかった場合に無保険期間が生じてしまいます
- タイミングによっては解約返戻金が減ってしまう保険もある: 保険の種類によっては、増えていった解約返戻金が途中から減っていくしくみのものもあります。解約のタイミングには十分注意しましょう
まとめ
生命保険を解約すると、解約返戻金というお金を受け取れる場合があります。いざというときにお金を確保する手段にもなりますし、商品によっては貯蓄として計画的に活用することもできます。必要に応じて、自分の保険が解約返戻金を受け取れるか、どれだけの金額を受け取れるかを確認しておくとよいでしょう。
一方で、解約返戻金を受け取るということは、現在契約している保険の保障がなくなるということでもあります。解約することが本当に必要かどうかをあわせて考えることも大切です。
※本記事は編集部が作成した一般的な参考情報です。特定の商品・保険会社を推奨するものではなく、断定的な提案でもありません。実際の要否は、各代理店の窓口で保険募集人にご確認ください。統計・制度に関する数値は今後変更される可能性があるため、最新の情報をあわせてご確認ください。
ほけんスコア編集部
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