終身保険の解約返戻金を上手に活用するための全知識
終身保険の解約返戻金のしくみと、戻り方の違いによる2つのタイプの特徴をわかりやすく解説。活用のコツや受取方法の選び方も紹介します。
終身保険には貯蓄性があり、途中で解約すると多くの解約返戻金を受け取れる場合があります。ただし、契約内容や解約のタイミングを誤ると、お金を増やすどころか大きく損をしてしまうこともあります。
そうした事態を避け、着実にお金を貯めるためには、終身保険や解約返戻金の仕組みを十分に理解し、メリットを上手に活用することが大切です。この記事では、解約返戻金の基本から、戻り方の違いによる終身保険の2つのタイプ、そして解約返戻金を活用するためのコツまで、基本知識をわかりやすく整理します。
終身保険の解約返戻金とは
まずは、解約返戻金のしくみと、お金の戻り方による終身保険の種類について解説します。
解約返戻金のしくみ
解約返戻金とは、保険を途中で解約した場合に、保険契約者に対して払い戻されるお金のことです。生命保険会社は、契約者が支払った保険料の中から一定割合の金額を積み立てており、保険を途中解約すると、その積立金の一部が解約返戻金として支払われるというしくみになっています。そのため、解約返戻金は、払い込んだ保険料の合計金額よりも少なくなることが一般的です。
なお、どの保険にもこの仕組みがあるわけではありません。解約返戻金がある保険としては、終身保険、養老保険、個人年金保険などが挙げられます。
終身保険の解約返戻金の戻り方は2タイプ
解約返戻金の戻り方の違いによって、終身保険は大きく「従来型」と「低解約返戻金型」の2つのタイプに分かれます。それぞれを見ていきましょう。
返戻率が徐々に上がる「従来型」
終身保険の中で基本となるのが「従来型」と呼ばれるタイプです。従来型の解約返戻金は、払込保険料に解約返戻率を乗じて算出され、保険料の支払期間が長くなればなるほど返戻率がアップするしくみとなっています。
返戻率が急に上がる「低解約返戻金型」
従来型と比べて、保険料払込期間中の解約返戻金が少ないタイプを「低解約返戻金型」と呼びます。払込期間中の解約返戻金は従来型のおおむね7割程度と低めですが、その分保険料は割安に設定されています。払込期間満了後は、解約返戻金の返戻率が一気に上がり、満了後も保険会社の運用により返戻率は上昇していきます。
解約返戻率の戻り方イメージ:従来型 vs 低解約返戻金型 ※戻り方の傾向を示すイメージであり、実際の金額・返戻率は商品・契約時期により異なります
貯蓄としてお金を増やすには保険料を有期払いに
終身保険は、従来型・低解約返戻金型ともに、保険料の支払い方法に「終身払い」と「有期払い」があることもおさえておきましょう。終身払いは一生涯保険料を払い続けていく方法で、月々の保険料を下げられる点はメリットとなりますが、返戻率が100%を超える見込みは少なくなります。
一方、有期払いは保険料の払込期間を年齢や加入年数などで区切って、それまでに払い終える方法です。たとえば定年までに払込みを完了させたい場合には60歳払込満了の商品を選ぶことで、それ以降、保険料を支払う必要がなくなります。終身払いと比べて月々の保険料は上がりますが、保険料払い済み後に返戻率が100%を超える見込みがあります。
貯蓄性で選ぶなら低解約返戻金型終身保険
解約返戻金の戻り方により、終身保険に2つのタイプがあることを紹介しましたが、貯蓄目的で人気があるのは「従来型」ではなく「低解約返戻金型」の方です。ここからはその理由についてみていきましょう。
従来型より低解約返戻金型が選ばれる理由
低解約返戻金型が選ばれる理由としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 保険料が安い:低解約返戻金型は従来型に比べて、解約返戻金の額を7割程度に抑えている分だけ、保険料が割安で済みます
- 従来型より返戻率が高くなりやすい:低金利環境が続く中で返戻率の高い商品は減っていますが、そのなかでも低解約返戻金型は比較的返戻率が高い方の商品に該当します。死亡保障が目的でも貯蓄性が目的でも、保険料が割安な低解約返戻金型を選んだ方が結果的に有利になりやすいと考えられます
- 確実な貯蓄手段になる:払込期間中の解約返戻金が低く抑えられているものの、払込期間満了後は100%以上まで返戻率が上がり、その後も時間の経過とともに返戻率は上がっていきます。早期解約さえしなければ確実な貯蓄手段となり、払込期間中の解約をなるべく避けたい心理が働くため、軽い気持ちで早期解約してしまうケースも従来型より少なくなるでしょう
- 一生涯の死亡保障がある:従来型であれ低解約返戻金型であれ、終身の死亡保障である点には変わりがなく、確実な死亡保障を確保できます
低解約返戻金型終身保険の2つの注意点
メリットがある一方で、注意すべき点もあります。
- 保険料払込期間中の解約で大きく元本割れをする:保険料払込期間中の返戻率を抑えている商品のため、その期間に途中解約してしまうと、受け取れる解約返戻金は少なくなり損を被ります(元本割れの状態)。長く加入し続ける自信のない方には向きません
- 見直しがしにくい:途中解約がしにくいということは貯蓄意識を高めることにつながる利点でもありますが、裏を返せば「見直しがしにくい」ということでもあります。他の保険に切り替えたいときも、解約すると損になるため切り替えにくくなります
終身保険の解約返戻金を上手に活用する3つのコツ
終身保険で貯蓄する場合は、従来型より低解約返戻金型の方が有利になりやすいことはおわかりいただけたと思います。ここではさらに、解約返戻金を上手に活用するためのコツを紹介します。
保険料を早く支払い終えると貯蓄性が高くなる
保険料払込期間は、払込年数で選ぶ場合(例:20年払済)と払込終了時の年齢で選ぶ場合(例:60歳払済)があります。どちらの場合を選ぶにせよ、払込期間を短くすればするほど返戻率が上がり保険の貯蓄性は高まります。
ただし、1回あたりの保険料の支払額も大きくなるため、自分の収入などと相談しながら保険料負担のバランスを考えて設計することが大切です。無理な設計をして途中解約してしまっては本末転倒なので注意しましょう。
目的に合わせた受取方法を選択する
解約返戻金の受取方法に関しては、一般的な「一括受取」のほかに「年金受取」を選べる場合があります。目的にあわせて自分にあった受け取り方を選択しましょう。
- 一括受取:終身保険の解約返戻金を一度に受け取る方法です。まとまった資金を準備できることがメリットで、「子どもの進学資金が必要」「住宅ローンを一括返済したい」などまとまった資金が必要な場合に向いています
- 年金受取:個人年金のように年金形式で受け取る方法です。保険会社によっては、一定の条件のもと解約返戻金を年金で受け取れることがあります。年金受取は一括受取と比べて保険会社がお金を運用できる期間が長くなるため、それだけ受け取り総額も多くなる傾向があります。まとまった資金がすぐ必要という人以外は、年金受取を検討する価値があります
また解約とは少し異なりますが、保障の全部または一部を年金として受け取れる「年金移行」というしくみが多くの保険会社で採用されています。ただし、標準で備わっているか特約が必要かなど、移行のための諸条件は保険会社により扱いが異なりますので、詳しくは加入時によく確認するようにしましょう。
商品を選ぶときには返戻率をチェックする
低解約返戻金型の終身保険を選ぶ際には、返戻率の高い商品を選ぶことが重要です。低解約返戻金型終身保険のジャンルには多くの商品があり、商品によって返戻率は変わってきます。各保険会社の商品ページをチェックしたり、商品パンフレットを取り寄せたり、不明点は窓口や募集人に問い合わせるなど、保障内容とあわせて比較・吟味することが大切です。
解約しても、今すぐ解約返戻金を受け取る必要がない場合は
たとえば保険料の支払いはやめたいけれど、いまは解約返戻金を受け取る必要がないという場合には、受け取らずに「払済保険」として据え置いておくこともできます。保障が継続されるだけでなく、解約返戻金の返戻率も上がっていくため、今すぐお金が必要というわけでないのなら「受け取らない」のも一つの選択肢です。
なお、注意しておきたいのが、解約返戻金の受け取りには税金がかかるという点です。受取方法によって課税方法は異なり、一括受取の場合は一時所得、年金受取の場合は雑所得として扱われます(本記事作成時点の税制に基づく情報のため、実際の申告にあたっては最新の制度をご確認ください)。
まとめ:解約返戻金は仕組みを理解して活用しよう
ここまで、終身保険の解約返戻金の仕組みから、従来型と低解約返戻金型の違い、そして低解約返戻金型が選ばれやすい理由などを紹介してきました。終身保険には貯蓄性があるので、上手に活用することでお金を貯めるための手段として利用することができます。
そのためのポイントは、低解約返戻金型を選ぶこと、保険料払込期間や解約返戻金の受取方法を目的にあわせて選ぶことなどです。
ただし、1つ気をつけたいのは、保険選びの際に保障内容のチェックをおろそかにしないということです。終身保険の大きな目的には長期的な貯蓄以外に、一生涯の死亡保障を確保するということがあります。解約返戻金や保険料だけを気にするのではなく、保障内容もしっかりチェックするようにしましょう。
※本記事は編集部が作成した一般的な参考情報です。特定の商品・保険会社を推奨するものではなく、断定的な提案でもありません。実際の要否は、各代理店の窓口で保険募集人にご確認ください。統計・制度に関する数値は今後変更される可能性があるため、最新の情報をあわせてご確認ください。
ほけんスコア編集部
Googleの公開データをもとに保険の窓口を客観的に比較・解説する、ほけんスコアの編集チームです。
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